経営者にとって、経営の勉強は最も重要なことの一つです。
会社経営は、経営者の能力によって成功と失敗が決まってしまいます。
しかし経営の勉強をしたくても分からない場合もあります。
何から手をつけるべきか
正しい優先順位の付け方は?
今の壁を破るためには
なぜこれをやるのか
色々な悩みがあると思います。
本記事は数百社の実践を行ってきた講師が中小企業の兵法としてお伝えしていきます。
古藤 靖憲
株式会社Balance Network / freee認定アドバイザー3名在籍
税理士事務所で財務会計の道を歩んで10年、「企業にとってあるべき社外パートナーの役割とは?」を追求し続け、「その会社が永続的に成長し続けることのできる財務環境を整えること」がその答えであると、31歳のときに独立し、株式会社バランスネットワークを設立。
経営は、事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行することを意味します。
ある、年商500億円の会社の社長が言ってました。
自分計画10年を立てそれに向かい進むだけ、と。
会社の事業計画は当たりまえで、自分がどうなっていたのかがとても大切で、そこから逆算してやることの詳細を決めていくそうです。
ただ、会社経営における事業環境は、常に一定ではありません。
時代と共に絶えず変化していくため、続けるためには経営の勉強も変化します。
なので終わりが来ることはありません。
経営者が経営に関する勉強を怠ってしまうと、会社の衰退リスクは増加します。
仕事を成功に導くために必要な要素は何でしょうか。
結論から言うと「チャレンジ」です。
経験上、チャレンジなしには得ることができないです。
チャレンジは、その時々によって変わりますし、様々な要素が関わりますが、実感しやすいものとして例を挙げるとすれば「経験」と「知識」です。
「経験」とは成功体験のことです。
一度成功した経験があるものや、それに近い状況に対して、成功した時と同じように適切な対応ができれば成功を重ねることができます。
そうして積み重ねた経験からは、共通する公式のようなものを導き出せるかもしれません。
そうした経験則を別の状況に応用し、落とし込むことで新しい成功へ繋ぐことができます。
また「知識」も重要です。
経験だけでは偏った結果しか得ることはできません。
経験したことのない状況に対応するためには「知識」が必要になります。
そうした「知識」を得るために行うのが「勉強」です。
経営の勉強において最も優先すべきは「経営の基本」です。
応用は基本の上に成り立っています。より高度な領域の勉強を行うためにも基本の勉強は避けて通ることができません。
武道に守・破・離、という言葉があります。
守は基本、
破は基本を軸にチャレンジしてみる、
離はチャレンジによる成功体験を自分流にアレンジしていく。
基本を知らなければ次もないということ。だから武道は基礎練習を繰り返し行います。
経営も同じです。
経営の基本が身についていない経営者は、自己流の会社経営によって危うい状態に陥るリスクが高くなります。
経営の勉強を始めるにあたって、知識が必要となる分野について解説します。
何から勉強すべきか分からない場合は、以下の分野について知識を深めましょう。
・財務・会計
・マーケティング
・マネジメント
・ビジネスモデル
企業会計に関する知識のことです。
経済活動は数字に置き換えられます。
売上や利益のほかにも、どのような流動があったか、在庫はどのくらいか、現預金はいくらかなど、全て数字で管理されています。
経営における数字を判断するために必要となるのが財務・会計の知識になります。
財務三表と呼ばれる、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の基礎を理解できる必要があります。
また、数字は客観的かつ合理的な情報です。数字に対する理解次第で経営は成功も失敗もします。
事業経営は、顧客ニーズを具体的に特定することから始まります。
顧客のニーズを捉えるのに役に立つのがマーケティングの知識です。
基礎であるマーケティング・プロセスは、設定された事業目的を基に、対象となる顧客を選定し、顧客に対して他社との違いを見せ、具体的な製品・サービス、価格などを考える一連のプロセスのことです。
近年では、Webでのマーケティングに特化したWebマーケティングの分野も発展しているので重要です。
デジタルを理解している人材は実は日本で少ない状況です。
ただデジタルを理解している方は社内業務効率化もはかれます。
一人で会社を経営して売上を伸ばすのには限界があります。
社長が営業マンの場合、2億円が1つの壁になります
事業をより発展させていくには従業員やパートナー企業を動かさなければなりません。
そういった際に必要となるのが人や組織をマネジメントする能力、リーダーシップを発揮して人を先導する能力です。
マネジメントは、組織に成果を挙げさせるための機能や機関を指します。
組織に必要な要素の分析や管理を行い、組織としての機能を十分に発揮させ、集団活動を維持、促進させる役割を担っています。
マネジメントのポイントは、以下のものなどがあります。
・短期的もしくは長期的な見通しを盾、組織に属するメンバーの力量・特性を把握する
・模範事例と現状の間に、どの程度の乖離があるか把握し分析を行う
・規則や秩序の遵守を働きかける
リーダーシップは「進む方向を示し導く」「組織の維持」「積極的な課題解決」などが挙げられます。
企業や組織が定める目的の達成を目指し、自発的に集団活動に参加しながら進むべき方向を示し導きます。
また掲げた方向性の実現に向け、組織による集団活動を維持することも重要です。
さらに方向性を実現する上で支障となる課題は、自らが積極的に解消します。これらの能力を兼ね備えたものがリーダーシップといえます。
継続的に売上や利益をあげるには、そのための仕組みを作る必要があります。
その仕組みをビジネスモデルといい、誰が何を提供し、どのような形でお金を貰うかという一連の事業活動を表します。
商品やサービスを売り、顧客からお金を得るのが基本的なビジネスモデルです。
近年におけるSNSでは、利用者にサービスを無料で提供し、利用者に広告を見せたい広告主からお金をもらうビジネスモデルが作られています。
経営について勉強する方法はいくつかあります。
主な勉強方法について紹介します。
本を読むことは単純ですが効果的です。
手当たり次第に読むのではなく、
前途の「学ぶべき分野」の4つを軸に興味を惹かれる分野から読み始めるのがいいでしょう。
知識が深まれば、興味も広がっていきます。最初から「何冊読む」と決めてしまうのではなく「読みたい」或いは「読むべき」と判断したものを選んで読むと継続できます。
具体的に勉強したい場合は、自分自身の経営に関する課題に直結する本を読むのがいいでしょう。
課題となる者はビジネスモデルや社員教育、財務関連のものなど企業によって様々です。
事業の経営課題に落とし込める知識が得られれば新たな成功体験を得ることができます。
また効率的に読み進めたい場合は、本から得たい知識を明確にすることも重要です。
読書は文字を追いかける作業であっては意味がありません。
頭を働かせて情報を整理しながら読まなければ勉強とはいえません。
その本から何の知識を得たいかを明確にできれば、関係のある知識を収集しやすく効率的に勉強できます。
Webブラウザーを使ったインターネット検索は、情報収集に最適な方法です。
インターネットが一般化する以前は、辞書や辞典を使って調べなければならなかったものが、ネットを使って簡単に情報を得られる便利な世の中になりました。
最近ではYOUTUBEで顔出しで自分の経験を売りにしている経営者
もいます。
ノウハウ満載でアップされているものもあります。
しかし、一部ではネットで得られる情報の場合、情報の出所が不明であったり信用できなかったりと情報の信憑性は低い場合があります。
情報に対して取捨選択しながら活用する必要があります。
セミナー学習は、映像で学習することができるため本などに比べて視覚効果がありイメージしやすいという利点があります。
活字が苦手である場合でも、映像で学ぶことができます。
今日ではオンラインセミナーが広く普及しており、誰でも簡単に受講できるようになっています。
また、SNSなどでも手軽に閲覧できるものも多くあります。有益なものであれば活用したいところです。
経営塾は多くの場合、期間が設定されたコースを受講します。
講師によって有益なものであるか、そうでないのか大きく変わります。本やセミナーと違い、無益なものであった場合でも自分で取りやめることはできないため、事前にホームページの確認、実績の確認、交流会の有無、経営塾の動画などを確認すると良いでしょう。
また、少人数制の方が望ましいでしょう。大人数になるとセミナーと変わりがありません。
団体によって様々な勉強会、講演などがあります。
同じ年代の経営者が多く所属しているため、生きた情報を得ることが期待できます。
同業他社の見学も高い効果が期待できます。
経営のノウハウだけでなく、経営の姿勢まで学ぶことができる場合もあります。
事業の後継者である場合、先代に学ぶことが最も重要です。
学ぶといっても、先生と生徒のような立場で教えて貰うわけにはいきません。
例えばカバン持ちをするなど、一緒に仕事をすることで学ぶ必要があります。
仕事を通して先代の方針、考えなどを体感することができます。先代と良い関係性を構築し、質問ができるようにしておくことが大切です。
黙っていても教えて貰えることは稀でしょう。必要なことは積極的に質問して学びましょう。
日々の業務の中で、勉強時間の確保は容易なことではありません。
そのような状況で勉強時間を確保するにはどうすればいいでしょうか。
それは、無理やりにでも勉強の予定を入れてしまうことです。
時間ができたら勉強しようと考えていても、実際に勉強に至ることは少ないでしょう。
人間は、変化を望みません。
目的が無ければ、時間を作ることはないといえます。
仮に時間を作ろうと考えて普段より早く仕事を始めても、終わる時間は同じになってしまいがちです。
ですが、明確な目的・予定として組み込んでしまえば、人は工夫ができるようになります。
目的のために時間を空けるので、空いた時間に勉強できます。
勉強時間が確保できないという場合は無理やり予定に組み込むことから始めてみましょう。
経営の勉強は、一度やったら終わりというものではありません。
経営に携わる間は、常に勉強し続けている必要があります。
・隙間時間を活用する
移動中などの隙間時間に勉強することは難しいことではありません。
ただし漠然と書籍に目を通しても、効果的な勉強をすることはできません。
隙間時間に勉強するためには、勉強するべきことを常に意識しておく必要があります。
得たい情報が明確な場合、ごく短い時間であっても効果があります。
勉強に対する意識や心構えのほかには、すぐに媒体を取り出せるような準備をしておくことも重要です。
・必要な知識を得る
現在の課題に対する知識であれば想像しやすく、単なる知識にとどまらない経験を得ることもできます。
自身の課題に無関係な知識を得たとしても、課題と結びつけることができなければ記憶には残りにくいでしょう。
・アウトプットを意識する
知識の習得にはアウトプットが重要です。
勉強で得た知識を課題に対してアウトプットすることで、知識としてもより身につきます。
経営者によってはわざと社員にアウトプットします。
自分の考え方を社員にインプットすると同時に自分の頭に刷り込ませるためです。
覚えるために言葉にするほど効果的なものはありません。
ただし、学んだもの全てをアウトプットするのは危険なため注意が必要です。
自社に置き換えれない場合も当然あります。
経営における失敗は、大きな損失に繋がる可能性もあります。
・体系的な学習
必要な時に必要な知識を得ることも重要ですが、得た知識に結びつく体系的な学習も効果的です。
体系化された理論を学び、そのうえで必要な知識を深めていくと、経営者としての能力を高めることができます。
会社や事業を継続したい経営者にとって、経営の勉強は一生ついてまわります。
勉強は主に「知識」を得ることですが、事業を通した「経験」を得ることもまた勉強です。
そして、そのどちらかに偏ってしまっては事業の成長を見込むことはできません。
事業の経験だけで学べることには限界があり、知識を得ることに夢中になり、本業が疎かになってしまっては本末転倒です。
効果的な勉強を行うためにどういった知識が必要かを見極め、目的をもって勉強にのぞむことが大切です。
株式会社バランスネットワークは熊本を元気にしていくため、キャッシュフロー経営に特化した活動を行っています。
会社の目的を明確にし、キャッシュフロー利益を確保するための計画立案から実行までのチーム構築と運用サポートを行います。
経営者や財務・経理のことが苦手という方にもおススメのキャッシュフロー経営講座も行っています。