企業活動において経営ビジョンは必ずしも策定されるわけではありません。
むしろ無いほうが多いです。
しかし現代において、その重要性が見直されています。
就職説明会の学生から
銀行の担当者から
クライアントから
「御社はどのようなビジョンをお持ちですか?」と。
ちなみにビジョンって、実は社内の方向性、会社 概要、採用 情報に至るまで様々なところに利用されています。
経営ビジョンとはどういったもので、どのような役割があるのでしょうか。
古藤 靖憲
株式会社Balance Network / freee認定アドバイザー3名在籍
税理士事務所で財務会計の道を歩んで10年、「企業にとってあるべき社外パートナーの役割とは?」を追求し続け、「その会社が永続的に成長し続けることのできる財務環境を整えること」がその答えであると、31歳のときに独立し、株式会社バランスネットワークを設立。
「経営ビジョン」とは、企業における将来像やあるべき姿を明文化したものです。
一般的には経営理念に基づいて策定されます。
企業が掲げる「経営理念」を実現するための、より具体的な方針を指し示すものとなります。
経営ビジョンは、従業員の行動規範や判断基準にもなり組織の一体感を高めます。
経営ビジョンは一つである必要はありません。
必要であれば複数同時に策定されます。
一般的に、一度策定されたものが大きく変わることのない経営理念とは対照的に、経営ビジョンは経営課題や社会情勢などの様々な側面から具体的な期限を区切って策定されることが多くあります。
経営理念は、企業の経営に関する考え方や価値観のことです。
なぜその企業が存在するのか、なぜ経営を行うのか、存在意義や経営の目的を言語化したものになります。
経営ビジョンは多くの場合、経営理念に基づいて具体的な今後の方針を描きます。
また、いつまでにどういった姿を目指して活動していくかという時間的流れが入ってきます。
ただし、経営理念と経営ビジョンを明確に分類することに大きな意味はないため、大項目と中項目のイメージで分けておくとよいでしょう。
ビジョンと混同されやすい概念に、ミッションとバリューがあります。
ミッション、ビジョン、バリューは、ドイツ人経営学者のピーター・ドラッカーによって提唱された企業の経営方針や経営指針に対する考え方を指します。
・ミッションの定義
ミッションは企業が営業活動をする上での使命・目的を指します。
企業にとって最適なミッションがあれば、従業員や顧客はその企業について理解度を深めることができます。
特に従業員に対して行動を定義するもとでもあり重要な指標となります。
従業員一人一人がミッションを理解できれば、企業の目的のために行動できるようになります。
・ビジョンの定義
ビジョンは企業の目指す目標です。
企業としてどのような姿に向かうべきか方針を明確にします。
ミッションを達成した先にビジョンがあるため、従業員に未来の姿を提示できます。
・バリューの定義
バリューは企業の価値観・基準を指します。
ミッションを達成しビジョンを実現するための行動指針や判断基準となります。
ミッション、ビジョン、バリューはそれぞれリンクしていなければ、従業員に混乱を招き会社を進むべき道を見失ってしまいます。
現代は「変動性が高く先行きが不透明で、不確実、曖昧さを含む将来の予測が困難な社会情勢」にあります。
このような社会情勢をVUCA時代と呼びます。
これからの時代、企業はVUCA時代に順応できる組織を目指さなければなりません。
VUCA時代を生き抜く確実な方法は存在せず、これまでの成功体験に基づく経営戦略を策定しても、成功する保証はありません。
こういった状況下でこそ必要となるのが「経営ビジョン」の策定です。
このため大きなビジョンに対するマイルストーンとして毎年の経営戦略を修正する所もあります。
状況が常に変動するVUCA時代においては、素早く柔軟に経営戦略を練り直すことが求められます。
この時、会社の目指す姿である経営ビジョンを策定していなければ、現状から先へ向かう方針が分からなくなってしまいます。
経営ビジョンが明確であれば、先が読めない状況にあっても、目標に向けた経営を行うことができます。
中小企業をはじめ、企業において経営ビジョンを策定し、社員に浸透させることができれば、社員一人一人が能力を発揮しやすくなります。
また、どの企業目標に対してどのようにアプローチするかを明確にでき、企業活動の円滑化という効果も見込めます。
さらに経営ビジョンの策定は中小企業における人材確保にも役立ちます。
大手企業を差し置いて優秀な人材を採用するのは、容易なことではありません。
しかし経営ビジョンにより会社の目標を学生や転職者にアピールできれば、同様の志を持つ優秀な人材確保へと繋がります。
経営ビジョンは形式的に掲げるだけものではなく、作成することで会社や社員にメリットをもたらします。
経営ビジョンは会社が向かうべき方向を具体的に指し示すものです。
経営ビジョンを策定すると会社が目指すものが明確になるので、社員一人ひとりが同じ方向へ進めるようになり、会社としての一体感を増幅できます。
ビジョンを活用した一体感とは、社員や組織が活気づいている状態や、期待をもてる状態が作り出されることです。
フランチャイズ方式でチェーンを拡大する企業などではこの経営ビジョンが特に重要です。
散漫になりがちな経営方針を統一し、フランチャイズ店舗をどう管理していくか、どのようにサービスを提供していくかの指針となります。
経営ビジョンを策定することで、経営陣の考え方にも統一感を得られるようになり、経営方針に一貫性が生まれます。
経営が安定し、業績向上が期待できるだけでなく、従業員などに対する安心感を醸成できます。
経営ビジョンによって目指す方向が明確になると、社員は会社の中での自分の役割がわかりやすくなります。
明確な自分の役割を把握した社員は、会社における自分の存在意義を見出せるようになり、モチベーションの向上へと繋がります。
また、ビジョンによって自分の業務に意味を見出し、ビジョンと自分の業務とのつながりを感じられるようになれば、意欲が向上して社員が退職しない理由にもなります。
その結果、離職率を低下させ、優秀な人材の流出を防ぐことにも繋がります。
ステークホルダーとは利害関係者を意味し、クライアントや投資家を指します。
経営ビジョンは、会社が向かうべき方向、理想の姿を示すものとして、社内だけでなく社外へも表明されます。
その主な目的は、会社のステークホルダーに向けた意思表明であることが殆どです。
経営ビジョンを策定することで、説得力の高い経営方針を提案でき、ステークホルダーから信頼を勝ち取ることができるようになります。
求職者は自分のキャリアを構築するために、それを叶えられる環境を選びます。
その際、企業が掲げるビジョンやミッション、バリューが求職者の判断材料の一部を担います。
また会社側としても、自社にマッチした人材に応募してもらうために、企業の考え方や価値観、今後進もうとしている方向性、その中で社員が得られる体験などを、事前に求職者へ提示する必要があります。
もし経営ビジョンがなく、価値観や進むべき方向性が明示されていなければ、求職者の判断基準は給与や福利厚生といった表層的な部分だけとなっていまします。
そのため、人材のミスマッチが起こり、離職率が高まるリスクがあります。
実際に経営ビジョンを策定する場合、どうすればいいか、基本的な方法を紹介します。
経営ビジョンの土台には経営理念があります。
まだ経営理念を掲げていない場合、まずは理念から策定する必要があります。
経営陣だけでなく、従業員としても納得できるものを策定します。
次に経営ビジョンを策定する際、経営者の独断と偏見のみで策定することは望ましいことではありません。
業界や競合他社、社会情勢のほかにも企業が抱えている課題など、現状把握から始める必要があります。
経営ビジョンの策定に必要な情報収集、材料集めをすることで、複数の側面から未来を想起できるようになります。
次に未来に向けて、情報収集により中長期的な予測を立てるなど整理します。
未来を予想した上でターゲットとなる顧客に将来的に必要なことを検証します。
その未来において、自社はどのような価値を提供すべきか、求められる役割を検討します。
こうした未来予想により、理に適った経営ビジョンの策定がやりやすくなります。
次に経営ビジョンの大枠ができた後、経営理念との整合性を確認します。
経営理念と経営ビジョンの内容に齟齬があると、現場が混乱してしまうほか、求人活動を円滑に進められず、ステークホルダーから信頼を得られない可能性があります。
そうした事態を避けるためにも、経営理念から外れていないか確認が必要です。
経営ビジョンに問題がなければ、経営ビジョンを言語化します。
一目瞭然で共感を呼びやすいユニークな表現を用いるのがポイントとなります。
発語した場合の語感、語呂の良さにも工夫を凝らすと、より印象的な経営ビジョンを策定することができます。
経営ビジョンは、社員が納得・共感できるうえで、心躍るようなものであることが大切です。
そのため、経営ビジョンを策定後、社員に共有し感想を聞くことが重要です。
企業が掲げる理想像を目指したいと思うかという点について確認する必要があります。
こうした場合、否定的な意見は思っていても言いにくいことが考えられます。
そうした中でも出てくるネガティブな意見は無視できるものではありません。
ネガティブな意見が真っ当である場合は、今一度考えなおし、社員から共感を得られる経営ビジョンを目指しましょう。
ヒヤリングを経て経営ビジョンを策定出来たら、無いように応じた活動や管理を行っていき、経営ビジョンを企業全体に浸透させます。
経営理念に基づく経営ビジョンが策定できていても、従業員に浸透していなければ、経営者の空想・妄想として終わってしまいます。
策定後は、社員一人一人に浸透させることに努めます。
経営ビジョンは、企業が掲げる目的を達成するための方針や達成後の将来像のことです。
経営ビジョンの策定は容易なことではありませんが、様々な効果、メリットを期待できます。
目指す姿、やるべき取組が見えていれば、従業員の意欲は高まり組織へ貢献しやすくなります。
それは事業の成長へと繋がることを期待できるでしょう。
経営ビジョンの策定ができていなければ、経営理念に基づいて経営ビジョンを策定することをお勧めします。
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